日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-030
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試験法:in vivo
カニクイザルにおけるミダゾラムと他剤の併用投与による鎮静・麻酔効果
*星野 満若狭 芳男藤原 淳大塚 貴弘飯野 雅彦佐々木 幹夫
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抄録
イヌでは,ミダゾラム (ベンゾジアゼピン,Mi) とメデトミジン (α2受容体作動薬,Me),あるいはMiとブトルファノール (オピオイド,Bu) の筋肉内併用投与による鎮静効果が,また,Mi,Bu及びペントバルビタール (静脈内投与,Pe) の併用による麻酔効果が報告されている.今回,カニクイザルにおけるこれらの薬物の併用投与による鎮静・麻酔効果を観察した.【方法】4頭のカニクイザルに,Mi 0.3 mg/kg+Me 20または30 μg/kg及びMi 0.3 mg/kg+Bu 0.2または0.4 mg/kgを筋肉内投与し,鎮静効果を観察した.また,Mi 0.3 mg/kg+Me 20 mg/kg筋肉内投与後15ないし25分にPe 5-10 mg/kgを静脈内投与し,麻酔効果を観察した.Pe投与後10分にアチパメゾール(α2受容体拮抗薬,At) 5000 μg/m2を筋肉内投与し,麻酔効果に及ぼす影響を観察した.鎮静及び麻酔効果は,サルの姿勢,動作緩慢,運動失調,筋弛緩,観察者への反応,指間の疼痛反応及び瞳孔反射の観察により判定した.【結果】 イヌで用いられるMi+Me 20 μg/kg及びMi+Bu 0.2 mg/kgでは,サルはふらつきながら床上を動き回り,また,疼痛反応は減弱しなかった.一方,Mi+Me 30 μg/kg及びMi+Bu 0.4 mg/kgでは,横臥あるいはうずくまり姿勢,筋弛緩,観察者への反応及び疼痛反応の減弱などがみられた.Mi+Me+Peでは疼痛反応がわずかに残ったが全例が横臥し,ほぼ麻酔状態となった.At投与後には,At無処置時より早く覚醒した.【考察】カニクイザルで十分な鎮静及び麻酔効果を得るには,イヌと比べてMe,Bu及びPeのより高い用量が必要と考えられた.
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© 2006 日本毒性学会
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