日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-45
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試験法、バイオマーカー、パノミクス、農薬、環境
Protoveratrine-Aによるラットならびにマウスのretching行動の解析と嘔吐評価系としての有用性
*根本 昌宏遠藤 泰小和田 淳子山本 隆弘平藤 雅彦齋藤 秀哉南 勝伊藤 善也
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抄録

【目的】実験動物として汎用されるラットやモルモットなどは嘔吐を起こさない動物として知られており,嘔吐評価系としては通常用いられない.Protoveratrine-A(以下,PV-A)は強力な催吐性物質であり,マウスに対し空嘔吐(以下,retching)行動を起こすことが報告されている.そこで今回PV-Aの投与によるラットならびにマウスのretching行動の行動薬理学的解析ならびに電気生理学的評価を行い嘔吐評価系としての有用性を検討した.
【方法】マウスならびにラットに対しPV-A を皮下投与し,その後60分まで行動解析を行った.さらにPV-A投与30分前に制吐薬としてNK1受容体拮抗薬のCP99,994もしくは5HT3/5HT4受容体拮抗薬のindisetronを併用し,同様にPV-A投与後60分まで行動解析を行った.電気生理学的評価としてラットのin vivo腹部求心性迷走神経活動に対するPV-Aの影響について検討した.
【結果及び考察】PV-Aはラット,マウス共に用量依存的にretching行動を引き起こした.嘔吐様行動はretchingのみであり,胃の内容物が吐出するvomitingは高用量群でも発現しなかった.NK1受容体拮抗薬のCP99,994はPV-Aによるretchingを有意に抑制した.Substance-Pの作用するNK1受容体は中枢ならびに末梢において嘔吐発現に関係していると考えられている.今回確認されたPV-Aによるretching行動においてもsubstance-Pが関与していることが明らかになった.5HT3/5HT4受容体拮抗薬のindisetronはretching行動について抑制傾向を示したものの有意な差は見られなかった.PV-Aにより発現するラットならびにマウスのretching行動は,制吐性物質の評価に有用であると考えられた.

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© 2007 日本毒性学会
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