日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-8
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毒性発現機序
High-Content Analysis技術を用いた非小細胞性肺癌への放射線照射による効果の定量解析
*梶原 大介Robert GravesStella Redpath大島 典子春日 卓郎
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抄録

近年、生物学的に異なる様々な非小細胞性肺癌(NSCLC)において、上皮細胞成長因子(EGFR)遺伝子の変異と、EGFRのチロシンキナーゼドメイン(TKD)のインヒビターであるgefitinibの腫瘍感受性との相関が報告されている。それにより、EGFRへの変異を有するNSCLC患者にgefitinib を効果的に適用することが試みられている。しかし、gefitinib抵抗性の患者に対してはその進行を妨げる事はできない。
そのような状況において、放射線療法は、gefitinibに対する抵抗性を示す患者へ代替療法となる大きな可能性を秘めており、既にNSCLCの治療法として使用されている。しかし、現在のところNSCLCのEGFR変異型と放射線感受性の関係は解っていない。もし、これを理解する事が出来れば、放射線治療をより効率的にgefitinib抵抗性の患者に対して適用することが出来るようになるかもしれない。しかし、この関係を明らかにするためには、多様なEGFR変異腫瘍株と放射線照射に伴う様々な表現系(特に細胞毒性パラメータ)を網羅的かつ複合的に定量評価する必要があり、複数のパラメータを一度に解析できる解析技術と高いスループットを必要とする。
そこで本研究では、蛍光イメージングをベースにしたIN Cell Analyzer 1000(GE Healthcare)によるHigh-Content Analysis技術を用いて、様々な時系列での19種のNSCLC変異体の放射線効果を定量的に分析した。 今回、10種の野生型NSCLC細胞株と、ミスセンス変異、もしくはin-frame deletion変異をEGFRに有する9種の変異株を用い、放射線照射時間、照射量の違いによる各細胞株の表現系変化を、生存率、DNA修復効率、細胞周期アレスト、小核形成、アポトーシスなどのパラメータを用いて定量的かつ複合的に評価した。

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© 2007 日本毒性学会
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