日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-19
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生殖発生幼若毒性
マウス次世代発生におよぼすビスフェノールAの影響
*小林 健一大谷 勝己久保田 久代宮川 宗之
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抄録

【目的】ビスフェノールA はこれまでに弱いエストロジェン様作用を呈することが示唆されてきている。生殖発生毒性試験においてはビスフェノールAの低用量曝露における次世代への影響を示す報告がある一方、それらを否定する報告もされてきており議論が分かれている。本研究では、ビスフェノールAの曝露に伴う次世代産仔の生殖発生毒性をマウスにおいて検索する。【方法】妊娠マウス(C57BL/6J系統)(第0世代)の妊娠期6日から授乳期20日にかけて、ビスフェノールA(和光純薬製、純度 >99.6%)を各群0, 0.33, 3.3, 33 ppmの比較的低用量を混餌濃度にて自由摂取させ自然分娩させた。産仔は3週齢において離乳し、各群母体曝露時と同用量の混餌飼料を10週間、自由摂取をさせた後屠殺し、体重、体長、尾長、肛門生殖突起間距離、各臓器(肝、腎、心、脾、胸腺、精巣、精巣上体、子宮、卵巣)重量を測定した。【結果および考察】体重、体長、尾長、肛門生殖突起間距離、肝、腎、心、脾、胸腺、精巣、精巣上体、卵巣、子宮重量の測定した結果、曝露群は対照群と比べて用量依存的な差は検出されなかった。これらの結果は、妊娠期~成熟期における比較的低用量のビスフェノールA(0.33~33ppm)の混餌曝露は、次世代の発生・成長に対して明確な影響をおよぼさない可能性を示唆するが、更なる検索が必要である。現在、第1世代産仔の内分泌的動態、精子形成能および受胎能の解析を行ない、更に第2世代産仔の生殖および発生に対する影響についての検索を進めている。

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© 2007 日本毒性学会
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