日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-20
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生殖発生幼若毒性
妊娠ウサギの凝固系パラメータにおける生理学的な変動
溝口 靖基遠藤 貴子佐野 絵麻水口 浩康*福田 一弥石川 勉松岡 哲也浅野 裕三
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キーワード: ウサギ, 凝固系, 周産期
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抄録

[目的] ヒトの周産期障害と凝固系パラメータの変動は密接な関連性を有している。同障害の発現機構を解明するモデル動物として、妊娠ウサギの凝固系パラメータが有用な指標になりうるかを検討するために、妊娠ステージにおける臨床検査値の生理的変動を非妊娠ウサギと比較した。 [方法] ウサギ(Kbl:NZW、5ないし7カ月齢、各採血時点8ないし10匹)を非妊娠及び妊娠動物の2群で構成し、妊娠動物は妊娠0、6、13、18、25及び28日に採血し、血液・血液化学検査を実施した。また、非妊娠動物は対照として、同時期に検査した。 [結果・考察] 非妊娠動物と比べ妊娠動物に特異的な推移として、血球系及び排泄系パラメータが胎児の器官形成期以降に減少し、体内の血漿量あるいは水分量増加に反映された。タンパク系、グルコース及びTGは胎児成長期に増減する2極性を示した。妊娠初期・中期に比べ、妊娠末期の凝固系パラメータに関して血小板数及びAT3の増加、APTTの延長並びにPTの短縮が見られた。ステロイドホルモンの供給源であるコレステロールは妊娠末期に減少したことから、分娩に関連するホルモン動態の変動と密接に結びついていると考えられた。[結論] 以上のように、妊娠ウサギの周産期では多くのパラメータが変動し、特に凝固系パラメータが周産期障害と関連した動態を示すことから、本障害の発現機構を解明するモデル動物となりうる可能性が示唆された。現在、エストラジオール及びプロゲステロンの血清中濃度を測定中である。

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© 2007 日本毒性学会
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