日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-21
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生殖発生幼若毒性
化学物質の胎生期暴露による新生児アレルギー発現に関する実験的研究-胎生期に卵白アルブミンにより感作されたモルモットのアナフィラキシー様症状-
*山田 朱美本田 久美子樋口 剛史内田 秀臣川島 邦夫
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抄録

【目的】近年,様々な物質により胎児が汚染されており,これによりアレルギー体質の子供(食物アレルギー,アトピー性皮膚炎,じんま疹,気管支喘息,アレルギー性鼻炎など)が急増しているとの報告がある.我々は,胎児期の汚染が,出生後にどのような影響を及ぼすのか,アレルギー感受性の高いモルモット(ハートレー系)を使用して検索している.今回は手始めの実験として,その結果を紹介する.【方法】予め,卵白アルブミン(OVA)により感作された雌1例(感作モルモット)及び無処置の雌1例(非感作モルモット)をそれぞれ無処置の雄と交配させ,分娩を行った.感作モルモットのF1動物4例及び非感作モルモットのF1動物3例について,いずれも生後約3週齢でOVA(0.1 w/v%生理食塩液)を後肢静脈から1 mL/kgの容量で静脈内投与し,F1動物の全身的アナフィラキシー症状を以下の評点で観察した.-:変化なし.±:立毛,掻鼻,不安感.+:±にふるえ,くしゃみ,呼吸促進が加わる.++:+に排尿,排便,呼吸困難,歩行不安定が加わる.+++:++の症状が顕著でけいれん転倒するが死は免れる.++++:死亡.【結果及び考察】非感作モルモットのF1動物は何ら全身性アナフィラキシー反応を示さなかった.これに対し,感作モルモットのF1動物では,2例が+,1例が+++,1例が++++となり死亡に至った.即時型アレルギーと言われる上記症状は,細胞親和性抗体(主にIgE)が関与しており,これは遺伝する可能性を示唆する結果となった.

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© 2007 日本毒性学会
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