日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-22
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生殖発生幼若毒性
ステロール合成阻害作用を有する化合物Xのラットを用いた口蓋裂に関する実験的研究-口蓋形成時の形態的変化-
*吉田 龍二池見 直起大田 泰史釜賀 英明島津 伸也川島 邦夫
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抄録

我々は,ステロール合成阻害作用を有する化合物Xを妊娠13日の母動物に経口投与すると,胎児に口蓋裂が高頻度に発生することを先に報告した(第32回日本トキシコロジー学会)。今回,本化合物による口蓋裂発生の機序を解明する一環として,口蓋突起の形態変化を調べた。【実験1】妊娠13日(膣栓確認日=妊娠0日)の母動物(Crl:CD(SD))に本化合物を100 mg/kgの用量で単回経口投与し,妊娠14,15,16及び17日の胎児を帝王切開により得た。口蓋突起を含む頭部横断の切片を作製し,HE染色を施した標本を用いて,(1)口蓋突起の伸展率(口蓋突起中の動脈を基点として,口蓋突起の先端までの距離や左右の動脈間の距離),(2)口蓋動脈から上顎の神経までの距離,(3)口蓋動脈と上顎の神経との角度,(4)口蓋動脈から鼻腔側壁血管までの距離を計測した。【実験2】口蓋が癒合する妊娠16日から17日にかけてより詳細な形態的変化を検索するため,妊娠16日のAM9:00,PM1:00,PM5:00,PM9:00の帝王切開により得た胎児を用いて上記(1)~(4)の形態計測をおこなった。この実験2では,妊娠0のタイミングをより正確にするため,PM11:00から約1時間の間に交尾が確認された動物を用いた.【結果】投与群では,口蓋突起の構成細胞や間質に口蓋裂の発生に関連するような変化は認められなかった。形態計測では,口蓋突起組織の上方への移動が小さいために口蓋突起どうしの距離が短くならず,融合ができないことが示唆された。

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© 2007 日本毒性学会
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