日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-24
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生殖発生幼若毒性
カニクイザル胎仔を用いた大脳皮質障害モデル作製の基礎検討1 -正常発生における胎生日と脳溝・脳回形成―
*福西 克弘澤田 和彦加島 政利坂田 ひろみ今井 統隆戸門 洋志福井 義浩永田 良一
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キーワード: 脳溝, カニクイザル, 発達
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抄録

【はじめに】霊長類は系統発生学上、ヒトに最も近い実験動物であり、ヒトに類似した脳溝・脳回を形成する。しかし、発生過程におけるカニクイザル大脳外套形成に関する詳細な報告はない。本研究はカニクイザル胎仔における大脳皮質障害モデル作製の基礎検討として、脳溝・脳回の形成過程を明らかにすることを目的とした。 【材料及び方法】胎生70、80、90、100、110、120、130、140或は150日のカニクイザルの胎仔脳を深麻酔下で灌流固定して脳を摘出し、大脳の外側面、背側面、前面及び腹側面をデジタルカメラで撮影し、脳外套を観察した。本研究は株式会社新日本科学安全性研究所実験動物倫理委員会の承認を得て行った。 【結果及び結論】カニクイザル胎仔では外側溝が胎生70日に現れ、胎生80から90日にかけ頭頂後頭溝、中心溝および後頭前切痕が出現し、前頭葉、頭頂葉、側頭葉および後頭葉の4葉を明瞭に区分した。胎生120日までに前頭眼窩野を除く各部で脳回形成に関与する一次脳溝が出現した。すなわち、胎生90日には上側頭溝が、胎生100日には弓状溝、頭頂間溝、月状溝および下後頭溝が、胎生110日には主溝、胎生120日には後頭側頭溝、前中側頭溝および後中心上窩が出現した。これらの一次脳溝の形成に伴い胎生90日に上側頭回が、胎生100日に中心前回、縁上回および角回が、胎生120日に下側頭回、中側頭回、中心後回、上頭頂葉、中前頭回、上前頭回、下前頭回および下後頭回が発現した。胎生130日以降は主に脳回形成に関与しない小溝および窩みが出現した。このように、カニクイザル一次脳溝の形成順序はヒトと同様であった。  以上より、カニクイザル胎仔大脳における脳溝、脳回の形成時期および形成順序が明らかとなり、大脳発達障害モデルを作製するに当たって重要な基礎データを得ることができた。

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© 2007 日本毒性学会
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