日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-29
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生殖発生幼若毒性
ラットにおける妊娠経過に伴う生理学的パラメータの変動
*浦底 嘉仲He Xi Jun江畑 知憲鷹野 正生中島 弘貴石本 友美木下 雄一髙嶋 恵美木村 紗綾佳小林 淳一池谷 政道
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抄録

[緒言]ヒトでは妊娠に伴い各種の生理学的パラメータが変動することが知られているが、ラットについての報告は少ない。我々は、SD系ラットの妊娠経過に伴う各種パラメータの変動を血液凝固系を中心に検索し、過去の報告や他の動物種と比較した。 [方法]13~16週齢のCrl:CD(SD)ラットの妊娠7、13、17及び20日に10又は11匹の動物を用いてエーテル麻酔下で腹大動脈から採血し各種の検査を実施し、肝臓CytochromeP450含量を測定した。また、妊娠13及び19日に凝固系関連遺伝子についてマイクロアレイ解析を実施した。対照動物としては同週齡の未交尾動物を用いた。 [結果]血液及び血液化学検査では、妊娠の経過に伴い、貧血傾向、ALP、Glucose、Na、Cl、Ca、TP、Albuminの低下、WBC、LDH、CPK、TG、PLの上昇がみられた。血小板、Fibrinogen は増加し、APTTは延長した。AT-IIIの変動は明らかでなかったが、トロンボテストでは凝固が促進した。凝固系関連遺伝子の発現は妊娠19日に増加した。なお、肝臓重量は増加したが、肝内CytochromeP450量は妊娠17日以降低下した。 [考察]妊娠の経過に伴う各種パラメータの変動は過去のラットでの報告と概ね一致した。一方、ウサギとの比較では種差が存在することが示唆された。また、周産期における凝固系関連遺伝子の発現が確認され、血液凝固パラメータの多くは凝固を促進する方向に変動した。なお、本実験の肝内CytochromeP450の低下は妊娠13日以降の肝内CYP isozymes蛋白の発現低下(He et al., Exp. Mol. Pathol.,79, 224-228, 2005) と関連しているかと思われる。

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© 2007 日本毒性学会
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