日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-39
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発がん性
発がん性試験におけるF344ラットの背景データ:特に体重の変化について
*髙信 健司上垣外 智之佐々木 俊明鈴木 正明片桐 卓野口 忠伊川 直樹長野 嘉介福島 昭治
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抄録

[目的]当センターでは1984年以来、F344ラットを用いた発がん性試験を継続的に実施している。発がん性試験における長期飼育に関する背景データについて検討したところ、1995年3月より後に導入した動物で体重増加の抑制が認められたので報告する。[動物]F344/DuCrlCrljラット(日本チャールス・リバー(株)厚木飼育センター)を4週齢で雌雄各220匹以上のロットで導入し、2週間の検疫・馴化の後、104週間の試験に供した。動物数は各試験(雄46試験,雌42試験)における対照群(50匹/試験)で、総数が雄2300匹、雌2100匹である。[飼育条件]バリアー区域の飼育室内(経口試験)及びチャンバー内(吸入試験)で、温湿度23±2℃及び50±20%、γ線滅菌飼料CRF1(オリエンタル酵母工業(株))及び紫外線滅菌の市水の自由摂取により単飼育した。[観察及び測定]一般状態の観察は毎日行い、体重及び摂餌量は18週齢までは毎週、以降は4週毎に測定した。[結果及び考察]体重が最大となる84週齢時点で、1995年3月以前とそれより後に導入した動物を比較すると、それより後に導入した動物は、平均体重が雄で約10%(480gから430g)、雌で約12%(310gから270g)減少していた。また、摂餌量は全期間を通じて雌雄とも若干の減少が認められた。試験終了時の生存率は雄で若干の上昇傾向が認められた。1995年3月より後に導入されたラットは体重増加の明らかな抑制が認められ、原因の一つとして摂餌量の減少が推察された。

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© 2007 日本毒性学会
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