日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-75
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肝・消化器系
Flutamide肝毒性発現おける反応性代謝物の関与
*安達 弥永山田 千春山崎 ちひろ立野 知世二宮 真一須藤 哲司吉里 勝利
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キーワード: 反応性代謝物, 肝毒性, 種差
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抄録
緒言:反応性代謝物は,生体内高分子と結合することで,肝毒性,アレルギーあるいは癌などを引き起こす危険性があると考えられている。この反応性代謝物をGSHでトラップした反応性代謝物スクリーニング方法が広く検討されているが,定性的評価にとどまっているのが現状である。そこで我々は,3H-GSHを用いてアダクト形成の定量的評価方法を確立し,フルタミドによる肝毒性ならびにその種差に反応性中間体が関与するか検討した。さらに,ラット及びヒト肝細胞キメラマウス(FXBマウス)由来ヘパトサイトを用いた細胞毒性を検討し,反応性代謝物の感受性に種差が認められるか,検討した。試験方法:ラット及びヒト肝ミクロソームと共に,Test drug及び3H-GSHをインキュベーションした。有機溶媒により反応停止後,上清を窒素気流下で乾固し,再溶解したサンプルをHPLCに注入した。HPLC流路をRADとMS/MSへとスプリットさせ,定量的・定性的分析を同時に実施した。また,ヘパトサイトによる細胞毒性は,定法によって実施した。結果:ヒト肝ミクロソームを用いて,GSHアダクトを定量したところ,Flutamide>Clozapine>Acetaminophen>Imipramine>Diclofenac>Troglitazone >Ketoconazoleの順でアダクト生成量が多かった。また,FlutamideにおいてはGSH存在下であってもミクロソームタンパクへの結合性が高いことが明らかとなった。Flutamideの肝毒性に関してラットとヒトでの種差が報告されているが,それぞれの肝ミクロソームを用いた場合のアダクト生成量は,ヒトに比べ,ラットで高く,必ずしも反応性代謝物の存在の大小が毒性と一致するものではないことが考察された。本発表では,さらに細胞毒性に与える反応性代謝物の影響を報告し,毒性の種差に関して考察する。
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© 2007 日本毒性学会
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