日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-87
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循環器系
テレメトリーシステムによるフェレットを用いた薬物の心血管系作用の評価
*田坂 知也新田 英子柴崎 久美子葛西 智恵子山田 博藤原 明
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抄録

【目的】薬物を開発する上で,心血管系に対する安全性薬理学的評価が必要である.創薬早期では化合物量が限られることから,化合物の心血管系に対する作用をin vivoで評価あるいはスクリーニングする場合は,特に小型の動物を使用することが望まれる.フェレットは非げっ歯類で比較的小型(体重 1~2 kg)の動物であり,in vitroにおいてその心筋細胞に遅延整流Kチャネルが存在することは知られている.しかしながら,QT間隔をはじめとする心電図パラメータに及ぼす薬物の影響をフェレットで評価した報告は少ない.今回,フェレットのテレメトリーシステムによる心血管系評価が創薬早期のスクリーニング系となり得るかどうかを明らかにする目的で,いくつかの薬物(陽性化合物)を用いて心血管系に及ぼす影響を検討した. 【方法】予めテレメトリー送信器を埋め込んだフェレット(雄,各群3~4例)を使用し,テレメトリーシステムにおいて無麻酔・無拘束下に心電図,心拍数および血圧を測定した.hERGチャネル遮断薬E-4031(0.1, 0.3, 1 mg/kg)Naチャネル遮断薬 flecainide(3, 10 mg/kg)および Caチャネル遮断薬 diltiazen(3, 10 mg/kg)を一夜絶食下に増加用量により単回経口投与した. 【結果および考察】フェレットにおいて,E-4031 は用量依存的にQT間隔ならびにQTc(FridericiaおよびMatsunaga)を延長した.フェレットにおける延長作用はイヌにおいて報告されている強さと概ね同様であった.Flecainide はQRS幅を延長したが,血圧および心拍数に顕著な影響を及ぼさなかった.心臓に対して比較的選択性が高いCa遮断薬である diltiazem はPR間隔を延長するとともに, 心拍数減少傾向と血圧低下を示した.以上のように,フェレットにおいてhERG,NaおよびCaチャネル遮断薬の作用を適正に評価でき,創薬早期の心血管系に対する評価系として有用であると考えられた.

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© 2007 日本毒性学会
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