日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-47
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7.毒性評価・代替法・薬物代謝
小児の発育に伴う薬物代謝酵素aldehyde oxidaseの活性変動
*田山 剛崇田上 千秋杉原 数美三宅 勝志北村 繁幸太田 茂
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抄録
【目的】薬物代謝酵素であるaldehyde oxidase(以下AO)により代謝を受ける薬剤はcyclophosphamideやmethotrexateなどが報告されている。特に、成長に伴い急激な生理・生化学的変化が生じる乳幼児においてこれらの薬剤を投与する場合には、代謝酵素活性を考慮した設計が重要と考えられる。既に、我々は、生体内物質であるN-1-methylnicotinamide (NMN)の尿中代謝物を用いて、乳幼児における成長に伴うAO活性変動を検討している。生後直後ではAO活性が認められないものの、1歳あたりで成人とほぼ同等の活性を示すことを明らかにした。今回、新生児・乳幼児の肝サイトソールを用い、成長に伴うAO活性変動およびAOタンパク発現の変動について検討を行った。
【方法】サイトソール画分は日本農工(株)より購入した肝S9 (新生児・乳幼児12名、成人4名)より作成した。AO活性は、AO特異的基質であるNMNからN-1-methyl-2-pyridone-5-carboxamide (2-PY) とN-1-methyl-4-pyridone-3- carboxamide (4-PY)への酸化活性より求めた。AOタンパク変動は、native-PAGEにより、検討を行った。
【結果】出生直後では活性が認められなかったが、生後3-5ヶ月で、急激に活性の上昇が認められ、生後12ヶ月あたりで成人と同等の活性に達することが確認された。4-PY / 2-PY比はいずれの年齢においても差が見られなかった。
【考察】In vitroにおいてもin vivoの結果と同様に、成長に伴うAO活性の変動が存在することが示された。従って、AOによって代謝を受ける薬剤を新生児・乳児期に投与する際には酵素活性の変動に対して十分な注意が必要である。
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© 2008 日本毒性学会
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