日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-015
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内分泌
PDIとカルレティキュリンの相互作用に及ぼすビスフェノールAの影響
*岡田 和嗣幸田 秀紀今岡 進
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抄録
ビスフェノールA (BPA) の母体への曝露が、胎児・乳幼児の脳神経系発達に悪影響を及ぼすことが示唆されている。我々はこれまでに、BPAの特異的結合タンパク質をラット脳シナプトゾーム画分より単離し、このタンパク質が甲状腺ホルモン(T3)結合タンパク質であるプロテインジスルフィドイソメラーゼ (PDI) であることを明らかにした。さらに、BPAがPDIに結合することにより、タンパク質フォールディング活性、及びT3結合活性が阻害される事を明らかにしてきた。今回、アフィニティークロマトグラフィーによって、ヒト神経芽細胞腫由来LA-N-5からBPA結合タンパク質の新たな候補因子としてカルレティキュリンを同定した。カルレティキュリンはPDIやERp57などのタンパク質と相互作用し、イソメラーゼ活性を制御していることが報告されている。そこで本研究では、PDIとカルレティキュリン、およびERp57の相互作用におけるBPAの影響を、Biacoreによる表面プラズモン共鳴法により検討した。BPAのアミン体をCM5センサーチップに固定化し、PDIをインジェクションしてBPAへの結合性を測定したところ、PDIの濃度依存的に結合量の増加がみられ、解離定数Kd値は0.58 μMであった。またこの結合は可逆的反応であった。また、ERp57もBPAに結合したが、カルレティキュリンはBPAに結合しなかった。PDIとカルレティキュリンをプレインキュベーションしたものをインジェクションすると、相加的な結合量の増加が見られた。また、センサーチップにPDIを固定化したものを用いてBPAの存在下でカルレティキュリン、およびERp57をインジェクションし、PDIへの結合性を検討したところ、BPAによる有意な相互作用への影響はみられなかった。
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© 2008 日本毒性学会
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