日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-016
会議情報
内分泌
Diethylstilbestrolのマウス新生仔期あるいは成熟期投与による精子障害性の相違
*田山 邦昭藤谷 知子坂本 義光小縣 昭夫中江 大上原 眞一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】動物の発育ステージ(投与時期)の違いによるdiethylstilbestrol(DES)の精子障害性(数・運動性の減少、形態異常)を我々の確立した機器計測法(Repro Toxicol,2006)により検討した。【方法】マウス:Crlj:CD-1を用いた。投与:DESはDMSOに溶解し、0, 1, 10, 100μg/kgの用量で、新生仔期には出生1日目より、成熟期には11週齢より、いずれも2週間皮下投与し、投与開始から前者(各群n=15,10)は13, 52週目で、後者(n=5)は2, 4, 6, 8, 10, 13, 41週目で検査した。機器:精子数計測、形態異常検出(粒度分布曲線ハ゜ラメータの比較)にはCDA-500を、運動性計測にはSQA-IICを用いた。測定:D-MEM中で細切・押出法により精巣上体尾部からの精子浮遊液を作製し、37℃、30分培養後、精子数・粒度分布と運動性を計測した。また生殖器重量・組織変化についても検討した。【結果・考察】新生仔期投与では、13, 52週目共に全てのDES投与群で精子数・運動性の低下や形態異常がみられ、精巣、精巣上体および前立腺の重量減少、組織変化が観察された。成熟期投与ではDES 1, 10μg/kg投与群では、全検査週で精子障害性や各生殖器の重量や組織に変化はほとんどみられなかった。100μg/kg投与群では、2週目(投与終了直後)で精子数や運動性の低下、精巣上体重量の減少、精巣や精巣上体の軽度の組織変化がみられたが、それ以降では変化は殆んどみられなかった。なお6週目でのみ、一部の例で精子数や運動性の低下、精子形態異常が観察された。これよりDES投与による精子障害性は、精巣の分化・発育期である新生仔期では強く現われ、不可逆性を示すのに対し、器官が完成した成熟期では弱く、一過性に起ることが示された。
著者関連情報
© 2008 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top