抄録
【目的】コプラナーPCBの妊娠ラット曝露による影響を新生子ラット(F2)の血漿タンパク質より検討した。これまでに、コプラナーPCB投与による炎症性疾患、脂質代謝疾患、および免疫疾患への影響を示す血漿タンパク質の変動を報告した。今回は、F2の血漿タンパク質のα1inhibitor,fibrinogen, serine protease inhibitor, plasminogenおよびtransferrinについての変動をミクロ2次元電気泳動法(M2D-PAGE)により観察した。
【方法】妊娠ラットへPCB126を3μg/kg/dayおよびPCB169を30μg/kg/dayの用量で経口投与し、新生子ラットの1W、3W、6Wおよび15Wの血漿(1.5μL)タンパク質の変動をM2D-PAGE;未変性-変性ならびに質量分析により観察した。
【結果および考察】1W では未知タンパク質の減少がPCB169 よりPCB126で観察され、15WのPCB126ではα1inhibitor, fibrinogenの減少が観察された。一方、PCB169ではα1inhibitor, fibrinogen, serine protease inhibitor, plasminogen, transferrinの減少が観察された。これらのタンパク質の増減は、母ラットの体内に蓄積したPCB126ならびにPCB169が母乳を介して移行し、各種プロテア-ゼインヒビターの減少および血液凝固線溶系への影響が示唆された。