日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-051
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調査研究
臨床薬理試験における重篤な有害事象(第3報) -臨試協加盟17施設における過去2年(試験数567、被験者数15,104名)の調査結果-
*菊池 康基深澤 一郎飯島 肇門間 毅高柳 博武元 則人有沢 紀子青木 綾子熊谷 雄治
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抄録
臨床試験に参加する被験者の安全性の確保は、試験を実施する上で重要な課題である。特に、新規医薬品は医療情報、臨床経験が少なく、非臨床試験のデータに基づいて、医療機関ごとに十分な注意を払うことで、被験者の安全性の確保に努めている。臨試協では、これまでにも、加盟医療機関で実施された健康成人を対象とした臨床第_I_相試験で発生した重篤な有害事象を調査し、第28、33回の本学年会に報告してきた。臨試協は、この調査が被験者の安全性確保の実態調査として極めて重要であると判断している。今回、加盟17施設を対象に、2004年10月から2006年12月に実施された試験について同様のアンケート調査を行い、調査開始時からの結果も取りまとめたので、第3報として報告する。〈BR〉 2004年10月から2006年12月までに、663試験(延べ参加被験者数17,305名)が実施された。1993年からの14年間の、延べ被験者数は113,091名で、因果関係の否定できない重篤な有害事象の発生率は0.027%であり、厚生労働省労働基準局の労働災害統計(死亡及び休業4日以上)の最近の発生率0.181~0.182%と比較し低い水準であった。また、2005年から2006年の2年間に実施された567試験(延べ参加被験者数15,104名)ついては、新薬および後発医薬品に分けた比較調査を行った。その結果、この2年間における、因果関係が否定できない有害事象は5件で、全てが新薬の試験で2006年にのみ発生していた。〈BR〉 臨試協は、加盟医療機関と協力しこの調査を継続することで、有害事象発現時に取られた対応処置方法などを分析し、実施に係わる医師、医療スタッフなどへの教育を通し、さらなる被験者安全性確保に向けた協力体制を確立したいと考えている。  本研究の一部は、第28回日本臨床薬理学会年会(2007)にて発表した。
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© 2008 日本毒性学会
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