日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-065
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実験動物・モデル動物
rasH2マウスの発がん感受性における生産施設間の比較
*町田 一彦浦野 浩司吉村 マスミ堤 秀樹野村 達次臼居 敏仁
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キーワード: rasH2マウス, MNU
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抄録
 短期発がん性試験用の遺伝子改変動物であるCByB6F1-Tg(HRAS)2Jicマウス(rasH2マウス)は日本クレア(Fuji, Shizuoka, Japan)およびTaconic(Germantown, NY, US)の2ヶ所の繁殖施設で生産され、世界中に供給されている。今回、両社生産動物の発がん感受性を比較するため、筆者らの研究所に総計120匹の動物を集め、同一プロトコールにて同一時期に26週間発がん性試験を実施した。試験群は溶媒群ならびに標準陽性対照物質であるN-methyl-N-nitrosourea(MNU:75mg/kg, 単回腹腔内)投与群とし、何れも15匹/性/群とした。その結果、生存率に生産所間の差はなく、溶媒群では両生産所動物とも試験終了時まで100%の生存率を維持した。MNU群では、投与開始9-12週後から誘発腫瘍により死亡(あるいは切迫屠殺)し始め、投与終了時の生存率は両生産所動物とも6.7%であった。病理学的検査結果では、溶媒群では前胃、肺、脾臓および皮膚に良性腫瘍が散見されたのみであった。MNU群では前胃乳頭腫/扁平上皮がんが両生産所動物とも100%の発生率で観察された。また、悪性リンパ腫は日本クレア産動物で86.7%、Taconic産動物で93.3%であり、両者間の差はなかった。その他の本マウスにおける代表的MNU誘発腫瘍である皮膚腫瘍(乳頭腫/扁平上皮がん/角化棘細胞腫)や肺腫瘍(腺腫)の発生率にも生産所間の差はなかった。以上より、日本クレアおよびTaconic産rasH2マウスの発がん感受性に差のないことが確認された。
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© 2008 日本毒性学会
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