日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-064
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実験動物・モデル動物
膵がんの化学療法剤の開発を目指したラット早期膵がん血清診断モデル
*深町 勝巳萩原 良明田中 創始柳原 五吉樋野 興夫津田 洋幸
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キーワード: Erc, 膵臓, 血清
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抄録
膵がんは早期発見が最も難しいがんのひとつであり、大部分の患者は症状を来してから受診するために進行がんの状態で診断される。したがって発見された時には切除できない場合が多い予後不良な難治がんである。膵がんの克服には早期診断・治療が重要であるが、そのための新しい治療剤の開発を進めるため膵がんのモデル動物が必要である。我々が確立したCre/loxPシステムを用いた活性型HrasV12コンディショナルトランスジェニックラット(Hras250)を用いて、Creリコンビナーゼ発現アデノウイルスを経胆道的に総胆管から膵管内に注入することによりヒトモデルの膵管がんを発生させることが可能となった。今回、我々はHras250を用い膵がんのモニタリングと治療モデルを確立するため血清診断マーカーの検索を行った。マイクロアレイ解析によりHras250ラットに発生した膵がんにおいてErc遺伝子が高発現していることが明らかとなった。Ercは遺伝性腎がんモデルであるEker ratで高発現する遺伝子として同定され、ヒトにおいては中皮腫・卵巣がんでMesothelin、さらに膵がん細胞の培養上清中でMPFとして同定されている。Ercは細胞膜表面に発現し、N末がプロテアーゼにより切断され血中に遊離すると考えられている。そこで、ラットErcのELIZAシステムを用い、膵がんの発生したHras250ラットの血清中濃度を測定した。血清中Erc濃度は、正常に比べ膵がんを発生させたラット血清で有意に上昇していた。さらに、肉眼では確認できない微小な膵腫瘍病変を有する個体においても有意に高値を示したことから、早期膵がん血清診断マーカーとなり得ることが明らかとなった。ラット膵がんの早期血清診断が可能になれば抗がん剤等の開発、治療効果の検定に有用となる。
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© 2008 日本毒性学会
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