抄録
[目的]我々は第34回本学会で、Kbl:NZW妊娠ウサギの血液学的パラメータの変動について検索し、妊娠後期に凝固系及び脂質系パラメータが大きく変動することを報告した。今回は、NZWウサギ同様生殖発生毒性試験に汎用されるJW妊娠ウサギについて検索し、NZWウサギと比較した。
[方法] ウサギ(Kbl:JW、5ないし7カ月齢、各採血時点8ないし10匹)を非妊娠及び妊娠動物の2群で構成し、妊娠動物は妊娠6、18及び28日に採血し、血液・血液化学検査を実施した。また、非妊娠動物は対照として、同時期に検査した。
[結果・考察] 妊娠動物に特異的な変動として、体内の血漿量あるいは水分量増加を反映し、胎児の器官形成期以降に血球系及び排泄系パラメータが減少した。タンパク系、グルコース及び脂質系(トリグリセライドを除く)は胎児成長期に減少する傾向を示した。また、妊娠後期(胎児成長期)の凝固系パラメータについては、出産時に想定される凝固系異常を予め回避すべく、フィブリノーゲン、血小板数及びAT3の増加並びにAPTTの延長が観察された。今回のJW妊娠ウサギでの検索成績はNZW妊娠ウサギのそれとほぼ一致したが、一部の凝固系パラメータ(フィブリノーゲン及びPT)に系統差が認められた。
[結論] 上述したように、JW妊娠ウサギでは、一部のパラメータを除き、NZW妊娠ウサギとほぼ同様の血液学的パラメータの変動を示した。現在、プロゲステロンの血清中濃度を測定中である。