日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-073
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実験動物・モデル動物
飼料成分の血液凝固系パラメータ値への影響
*大西 康之岡野 美佐子石井 宏幸大信 阿津子平塚 秀明
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抄録
一般毒性試験では,凝固系パラメータ検査(PT,APTT)は標準的に行われる検査であり,NOAEL算出や毒性評価において重要な検査項目の一つである.またこれらのパラメータ値のばらつきを抑えることは,正確な毒性評価を行う上で極めて重要である.今回,広く使用されている飼料の成分がラットの凝固系パラメータ値に影響を及ぼすことを見いだしたので報告する.
(方法)ラットSD系(Crl:CD)の雄(9週齢,10匹/群)に,2種類の飼料(CR-LPF,CRF-1,オリエンタル酵母工業株式会社)を3週間給餌し,PTおよびAPTTを測定した.また,内因系および外因系の各凝固因子(I, II, V, VII, VIII, IX, X, XI, XII)量についても測定した.
(結果)CRF-1給餌群では,CR-LPF給餌群に比してPTおよびAPTTは有意に延長した(P<0.01).また凝固因子では,CRF-1給餌群においてII, VII, IX, X因子の低下が比較的顕著に認められた.
(考察および結論)低下が顕著であった凝固因子はビタミンK依存的に肝臓で合成されるものであり,CRF-1給餌群ではビタミンKの不足が疑われる.しかしながら,各飼料へのビタミンK添加量は同じであることから,CRF-1に含まれる他の飼料成分がビタミンKの吸収や腸内細菌による合成,あるいはビタミンKサイクルなどへ影響している可能性が考えられる.どのような飼料成分によるものであるか,さらなる検討結果を示していきたい.
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© 2008 日本毒性学会
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