日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-078
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実験動物・モデル動物
ラットにおける骨代謝パラメーターの加齢性変化
*佐々木 大祐鈴木 道江田畑 肇森口 聡寺井 孝雄
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抄録
【目的】骨は吸収と形成によるリモデリングを常に行っている。リモデリングは骨芽細胞と破骨細胞の働きによって調節されており,それらの活動状態は血清中オステオカルシン(OC)や骨型アルカリフォスファターゼ活性(B-ALP)によって評価が可能である。また,リモデリング活動の成果物である骨コラーゲンの分解産物であるN末端テロペプチド,尿中デオキシピリジノリン(DPD),尿中ピリジノリン(PYD)等にも骨代謝状況は反映される。臨床ではこれらの指標が骨粗鬆症等の疾患評価に用いられているが,ラットでの報告は乏しい。我々はラットにおける骨代謝パラメーターの毒性評価への利用を考え,骨代謝マーカーの加齢性変化について検討した。
【方法】2~18週齢の雌性SDラットから2週間隔で尿と血清を採取し,尿中DPD,PYD,血清中B-ALP,OC,酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRAP),2型コラーゲンカルボキシプロペプチド(CP2),アグリカンコンドロイチン硫酸鎖上エピトープ(CS846)を測定した。
【結果及び考察】血清中B-ALP,尿中PYD,DPDは2週齢で最高値を呈した後,低下する推移を示し,18週齢時は2週齢時の1/20以下まで低下した。血清中OC,CP2は6週齢で最高値を示したが,8週齢以降は最高値の1/2前後で安定した。血清中TRAP,CS846には加齢性変化は認められなかった。以上,TRAP及びCS846を除き,今回検討した骨代謝マーカーは,成長盛んな体重変化の著しい若齢期ほど高値を示していた。ヒトにおいても新生児期~16歳程までの期間にB-ALP,OC,DPD及びPYDが高値を示す事がP.Szulcらの報告(Osteoporos Int, 2000. 11(4): 281-94)にもまとめられており,OC,DPD及びPYDの加齢性変化はラットとヒトで類似していた。
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© 2008 日本毒性学会
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