日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-088
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薬物代謝
3-メチルコラントレンによるHepG2細胞でのCYP1A酵素誘導に及ぼす食品添加物の影響
*関本 征史根本 清光西川 秋佳出川 雅邦
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抄録
【目的】発がん物質の代謝活性化や医薬品の代謝分解に重要な異物代謝酵素である肝CYP1A酵素に着目し、CYP1A酵素誘導剤と食品添加物の複合暴露による発現変動の可能性について検討した。
【方法】肝CYP酵素の発現を変動させることが知られる4種の食品添加物(クルクミン(CUR)、チアベンダゾール(TBZ)、没食子酸プロピル(PG)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT))を被検物質として使用した。CYP1A酵素誘導剤としては、Arylhydrocarbon receptor(AhR)のアゴニストである3-メチルコラントレン(MC)を使用した。試験用細胞株として、CYP1A酵素誘導を遺伝子、蛋白および活性レベルで測定でき、さらにCYP1A酵素誘導に関わる転写因子AhRの活性化をレポーターアッセイにより検出できるHepG2-A10細胞を使用した。HepG2-A10細胞に、MCまたは各被検物質を単独、あるいはMCと各被検物質を同時に24時間処理し、CYP1A酵素誘導およびAhR活性化に及ぼす影響について検討した。
【結果・考察】被検物質のうち、CUR、TBZ処理群において各種パラメーターの変動が見られた。CURは単独ではAhR活性化、CYP1A酵素活性には影響を与えなかったが、MC共存下では、CURの濃度依存的にAhRを活性化した。なお、CYP1A酵素活性には影響を与えなかった。一方、TBZは、単独処理によって濃度依存的にAhR活性化およびCYP1A酵素活性の増加を引き起こし、TBZによるこれら作用は、MCとの共存下で増強された。このMCとTBZによるAhR活性化およびCYP1A酵素活性の誘導作用は、各試薬の単独処理に比べて著しく強いことから、相乗的な効果であると考えられた。現在、CYP1A酵素のmRNAおよび蛋白レベルにおける相乗的効果の有無について検討中である。
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© 2008 日本毒性学会
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