抄録
近年、アレルギー疾患の増加と清潔志向に対応して、ハウスダストや臭いの原因物質を除去する目的の、液体噴霧剤が多く市販されている。それらの製品あるいはその成分について、生体への影響の情報がほとんど見られず、また、乳幼児のいる住居空間で多用される可能性があるため、マウスの新生仔と成獣での連続経口投与による影響を調べた。
3種の市販のハウスダスト除去・消臭剤:製品A、BおよびCを、マウス新生仔(生後0日から)と成獣(およそ12週齢から)に、0、0.5、1.0、2.0、4.0 mL/kgb.w.(新生仔)あるいは、0、1.0、2.0、4.0、8.0 mL/kgb.w.(成獣)を連続21日間投与し、22日目に主要臓器重量の測定、血球検査と血液生化学検査と行った。
製品AおよびBは、新生仔への2.0~4.0 mL/kgb.w.の投与で死亡が見られ、生き残った仔の体重の伸びの低下や臓器重量の低下などの発育抑制が見られた。製品Cは、新生仔への1.0~4.0 mL/kgb.w.の投与で影響は見られなかった。
成獣への投与では、製品AおよびBの1.0~4.0 mL/kgb.w.の投与、および製品Cの2.0~8.0 mL/kgb.w.の投与で、影響は見られなかった。
新生仔への影響は、製品による違いが見られた。また、成獣に比べて新生仔が影響を受けやすいことがわかった。実際の居住環境での使用実態や成分の残留実態によっては、より詳しい生体影響の検討が必要と思われる。