日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-105
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毒性試験
グァバ葉ポリフェノールの薬物相互作用に関する安全性評価
*鈴木 勝也金子 公幸永田 百合子岩立 恵実加藤 幾雄内田 和美
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キーワード: 相互作用, チトクロムP450
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抄録
「特定保健用食品」は、身体の生理学的機能に影響を与える関与成分を含む食品であり、その有効性・安全性に関してはヒト及び動物の試験において確認されている。特定の疾病の治療を目的として摂取する食品ではないものの、薬剤による治療を受けている方々が、その効果を期待して摂取する場合も少なくない。従って、これらの特定保健用食品において、薬剤との相互作用について考慮する必要がある。
特定保健用食品の関与成分の一つであるグァバ葉ポリフェノールは、食事による腸管からの糖の吸収を抑え、血糖値の上昇を抑制する作用を持つことから、高血糖値を示す患者が治療薬と平行して摂取することがある。そこで、グァバ葉ポリフェノールあるいはそれを含む飲料について、薬剤との相互作用の観点に基づいた安全性評価を行った。

多くの薬剤の代謝に関与するとされる各種P450活性に対するグァバ葉ポリフェノールのin vitroでの阻害作用、およびグァバ葉ポリフェノールが含まれる飲料を摂取したラットにおける肝臓でのCYP3A2の誘導の可能性を免疫組織学的手法により、検討した。また、糖尿病の合併症の治療で多用される薬剤であるワルファリンの血液凝固時間の延長作用に対する影響を見た。
その結果、グァバ葉ポリフェノールはCYP1A2、CYP2B6、CYP2D6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP3A4に対する阻害作用を示さなかった。また、グァバ葉ポリフェノールを摂取したラット肝臓でのCYP3A2の誘導作用も認められなかった。さらに、ワルファリンの血液凝固時間の延長作用に与える影響も認められなかった。
以上の結果から、グァバ葉ポリフェノールの摂取により薬剤との相互作用が起きる可能性は極めて低いと考えられた。
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© 2008 日本毒性学会
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