日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-106
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毒性試験
農薬chlorpropham(CIPC)のICRとBALB/cマウスの免疫系に及ぼす影響
*山口 敦美藤谷 知子小縣 昭夫中江 大上原 眞一
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キーワード: 農薬, 免疫, 胸腺
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抄録
CIPCは日本では農薬として使用されているが、ジャガイモの産生国では保存や輸送時の発芽抑制に使用されている。輸入されたジャガイモからは残留基準値以下ではあるが検出頻度は高い。これまでにセンターでは、マウスとラットで亜慢性毒性試験を行ってきており、メトヘモグロビン血症、肝臓と脾臓重量の増大、胸腺重量の縮小が観察されている。今回は、CIPCが免疫系に影響を及ぼすかどうかを知るために、ICRとBALB/cの2系統のマウスで、胸腺、脾臓、血液のリンパ球のサブタイプを分析した。(方法)8-12週齢の雌マウスを使用した。3日間1000mg/kgのCIPCまたは溶媒のコーンオイルを経口投与した。4日目に剖検して、臓器重量(肝臓、腎臓、副腎、脾臓、胸腺)、血球数、白血球百分率を測定した。血液、脾臓、胸腺のリンパ球を、白血球(CD45), T細胞(CD3, CD4, CD8), B細胞(B220)をフローサイトメーターにて解析した。CIPC投与後、0,2,6,24時間後のコルチコステロンを硫酸蛍光法で測定した。(結果)ICRマウスでは、胸腺重量が減少し、脾臓と肝臓重量が増加したが、腎臓と副腎の重量変化はなかった。胸腺細胞数も減少し、そのうちCD3-/CD4+/CD8+細胞が減少した。脾臓や血液のリンパ球に変化はなかった。BALB/cマウスでは有意な変化は見られなかった。ストレスホルモンであるコルチコステロンは投与後ICR、BALB/cマウス共に2時間で対照の2倍程度に増加し、24時間後には0時間のレベルに低下した。(考察)CIPC はICRマウスの免疫系に抑制作用を示した。BALB/cマウスでは抑制作用は示さず感受性に差があった。免疫毒性の検査の際には系統間の差に考慮を必要とした。
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© 2008 日本毒性学会
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