日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-139
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毒性試験法 I
化学物質による気道過敏症検出法の検討
*福山 朋季田島 由香里林 宏一上田 英夫首藤 康文小坂 忠司原田 孝則
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抄録
低濃度化学物質による気道過敏症検出法を検討すべく,代表的な気道感作物質である無水トリメリット酸(TMA)の低濃度気道暴露を試みた。
実験には8週齢の雌性Balb/cマウスを用い,感作ないし惹起に溶媒もしくはTMAを投与する以下の5群を設定した;感作・惹起とも溶媒を投与するA群,惹起のみTMA(0.01%)を投与するB群,感作のみTMA(0.1%)を投与するC群,感作・惹起ともTMAを投与するD1(0.1%+0.001%)およびD2(0.1%+0.01%)。試験1-3,8-10,15-17日に両耳介皮膚に感作投与を実施,試験31日に気管内への惹起投与を行い,翌日に血清,肺胞洗浄液(BALF)および肺門リンパ節の採取を行った。血清は抗原特異的IgE抗体価を測定した。BALFは塗沫標本およびフローサイトメーターによる細胞分類,アレルギー関連因子(MCP-1,Eotaxin 等)の測定を行った。肺門リンパ節は細胞単離後,B細胞のサブセット(IgE,MHC class II)をフローサイトメーターにて解析した。また,単離リンパ球細胞をCD3およびCD28抗体含有FCS添加RPMI1640培養液で24ないし96時間培養し,上清中のサイトカイン量(IL4,IL5,IL10,IL13 等)を測定した。
BALFの解析では,好酸球数および好酸球由来因子(MCP-1,Eotaxin)がD1・D2群で有意に増加した。肺門リンパ節では,IgE陽性B細胞数および培養上清中Th2型サイトカイン放出量がD1・D2群で有意に増加した。血清中抗原特異的IgE抗体価もD1・D2群で有意に増加した。好酸球数,IgE陽性細胞数,Th2型サイトカイン放出量および特異的IgE抗体価の増加はTMAによる気道過敏症反応を示唆している。本実験結果から,低濃度化学物質により惹起される気道過敏症が検出可能であると示唆された。
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© 2008 日本毒性学会
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