抄録
日光に曝されることにより、毒性が促進される化学物質の存在が明らかとなり、毒性影響の中で遺伝毒性を評価する方法として光遺伝毒性試験が開発されているが、試験方法及び評価方法は標準化されていない。
そこで、「細菌を用いる光復帰突然変異試験」を用いて、光照射による遺伝毒性を評価できる標準的な試験条件及び評価法の確立を目的に検討したので報告する。
試験菌株にはS. tyhimurium TA100、TA98、TA102、TA1535及びTA1537の5菌株を用い、それぞれについて、生育阻害及び生菌数から至適条件を確立した後、使用できる溶媒及び陽性対照物質を選定した。さらに、確立した方法により既知の光遺伝毒性物質である7,12-ジメチルベンゾ[a]アントラセン、エノキサシン及び3,5,4’-トリブロモサリチルアニリドの3物質についての実験を行い、評価を行った。その結果、確立した条件で3物質とも再現性良く陽性反応を検出できることを確認した。さらに、蓄積された溶媒対照及び陽性対照の試験結果の解析から、光照射による遺伝毒性を評価する指標についても提案する。