日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-171
会議情報
毒性試験法 II
QT延長評価におけるテレメトリーマーモセットの有用性:新規QT間隔解析法の応用
*本多 正樹田保 充康小松 竜一山田 裕一郎木村 和哉伊藤 豊志雄玉置 憲一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】QT間隔はRR間隔の変動に伴って変化するが,同一RR間隔においてもQT間隔は大きく分散することが知られている。これはQT間隔の補正を不正確にする原因の一つとして挙げられ,より精度の高い解析法が望まれている。昨年,この問題点をクリアした新規QT間隔解析法(Probabilistic解析)が,サル・イヌを用いた検討で報告された(Holzgrefe. et al. 2007.)。そこで我々は医薬品開発におけるQT延長評価の初期スクリーニング系として有望視されているマーモセットへのProbabilistic解析の応用を試み,さらに本試験系の臨床予測性について検討するためThorough QT/QTc試験における陽性対照薬(moxifloxacin)によるQT延長作用を検討した。 【方法】テレメトリー送信器を埋め込んだマーモセット(日本クレア; 雌雄各4匹)を使用し,無麻酔・無拘束下にて心電図,心拍数及び血圧を測定した。取得した全波形からRR間隔5ミリ秒ごとのQT間隔の平均値を算出し,個別補正式(Miyazaki. et al. 2002.)を求めた。Moxifloxacin(0,10,30,100 mg/kg)はラテン方格法に従って経口単回投与し,5分間ごとに補正QT間隔(QTc)の平均値を求め,QT延長作用を評価した。 【結果及び考察】新規QT間隔解析法から得られた個別補正式を用いて算出されたQTcは,RR間隔変動に対して非常に安定していた(slope=0.001, CV=2.06%)。Moxifloxacinの検討では,30及び100 mg/kgの投与によりそれぞれ約10,30ミリ秒のQTc延長が認められ,その他の心循環パラメータに変化は認められなかった。以上のことから,本解析法を用いたマーモセットのテレメトリー試験系が臨床におけるQT延長作用を予測可能な初期非臨床評価系であることが明らかとなった。
著者関連情報
© 2008 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top