日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: S2-3
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レギュラトリーサイエンスにおける有害性評価・予測
トキシコゲノミクスによる毒性評価法の高精細化
*北嶋 聡菅野 純
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抄録
医薬品、食品、化粧品、生活関連用品、環境化学物質等、様々な物質が身体に取り込まれた際に生じる生体反応を予測し、それらの使用に際しての毒性発現を未然に防ぐのが毒性学の役割である。具体的には、使用法(用途)や使用量(残留量)を制限し、あるいは禁止するための科学的根拠を提供するが、その際、人の身代わりとして実験動物を用いる場合が多い。従来の毒性評価は、個々の動物の症状や病変を診断することにより行われ、その精細化の一環として、加えてのトキシコゲノミクス研究が進められている。ここでは、生体反応をトランスクリプトームすなわち、DNAから転写されるmRNAの種類と量の変動として観測・解析する。このアプローチの特長は、1)最終病変に至る過程が詳細に追跡できること、2)変化の記述にとどまらず分子生物学的メカニズムとして毒性を理解しうること、にある。そのため、比較的短期の実験から慢性毒性が予測可能となる。また、複合影響の理論的予測が可能となる。あるいは、分子毒性学の構築による種差や個体差の問題の解決が進むなどの利点が見込まれる。このためのマイクロアレイ技術は、ほぼ全ての遺伝子に関する発現情報の収集が可能であり、網羅的な検索が必須である毒性学に好都合である。上記1)、2)のためには、遺伝子発現カスケードの全容解明を目指す必要があり、纏まった量のデータの蓄積が必須である。マイクロアレイや定量PCRから細胞1個当たりのmRNAコピー数を得るPercellome手法と、そのデータ解析の為のMillefeuille システムの実用化により、数年かけて蓄積したデータの有機的解析が可能となった。現在までに、90種以上の化学物質のマウス肝の初期応答データを採取し、さらに反復投与、胎児毒性、吸入毒性、多臓器連携データを加えて検討している。ここでは、本プロジェクトの概要と展望を述べる。
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© 2008 日本毒性学会
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