日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: W1-4
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核酸医薬品の安全性評価
RNA創薬の現状と課題
*矢野 純一
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キーワード: siRNA, 2-cyanoethoxymethyl
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抄録
 RNAi現象を応用したsiRNA医薬品は、抗体医薬品に次ぐ次世代の新規薬物治療法として注目されている。現在、欧米ではsiRNAやアプタマーなどRNA医薬の開発競争は熾烈であり、Tuschli)らが2001年にNature誌に初めて論文発表したsiRNAは、すでに米国ではフェーズIIIにまで開発が進んでいる。RNAi薬剤開発において、解決すべき重要な課題は、第一に、高純度なRNAを大量かつ安価に合成する方法論の確立であり、第二に、標的部位の細胞に効率的に高い安全性を持ってRNAを導入できるドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発である。
 我々は、第一の課題に対して、新たなRNA合成法の開発を行い、2-cyanoethoxymethyl(CEM)基を新規保護基として有するアミダイトを用いることによって、合成法が完成されたDNA合成に匹敵する高純度かつ高収率を特長とするRNA合成法を確立した。さらに第二の課題に対して、我々はこれまでに第一世代のRNA医薬品として平均鎖長250の二本鎖RNA(poly(I):poly(C))とカチオニックリポソーム(LIC-101)の複合体の臨床試験を行っており、このときに開発したヒトへの全身投与が可能な安全性の高いDDSを応用したRNAi医薬品開発に取り組んでいる。
 本講演では、核酸医薬品の特性に重点を置いた上で、これらの自社基盤技術の基に、RNA医薬品開発の現状と課題について紹介したいと考えている。

i)Tuschl, T. et al : Nature, 411 : 494-498, 2001
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© 2008 日本毒性学会
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