日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: W2-4
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小児医薬品開発における課題
幼若動物を用いた非臨床試験の実際
*柴野 隆司
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キーワード: 幼若動物, 非臨床試験
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抄録

小児への医薬品適用にあたって,その根拠として,多くの場合は成熟動物を用いた非臨床試験結果に基づいて実施された成人での臨床試験データが用いられている。しかし,成人と小児では,成熟度の違いから,薬物感受性に違いがあることは良く知られており,小児用医薬品の非臨床試験評価においては,相当する若齢期の動物を使用した試験の実施が必要とされている。しかし,幼若動物を用いた非臨床試験は,成熟動物試験と異なり,さまざまな技術的困難を伴うため,実施がされていないのが現状である。当施設では1981年に幼若イヌ,1991年に幼若ラットの毒性試験への手法を確立した後に多くの経験を蓄積した。今回はラット及びイヌの幼若動物試験実施上の実験手技について述べる。 ラットでは,最も早い例で生後4日齢,以降6日齢,2週齢,4週齢の動物を用いた経口投与及び静脈内投与毒性試験を実施している。これらの試験を実施するにあたっての群分け,離乳までの飼育,投与,採血,剖検,臨床検査での注意点及び背景データを示す。 イヌにおいては早い例で生後2週齢の動物を生産場から受け入れ,成長に応じ人工乳から離乳食へと哺育形態を変え,さらに,体温管理を行いながら飼育し試験を実施している。また,母体からの移行抗体が消失する時期にはワクチン接種を実施している。試験手技は成熟動物を用いた試験と大差はないが,幼若動物では投与方法,投与量,採血量などに制約があるので,技術的注意点と背景データについて述べる。

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© 2008 日本毒性学会
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