日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-07
会議情報
2.発がん
ラット肝発癌過程におけるConnexin 32発現の影響
*朝元 誠人白井 智之
著者情報
キーワード: Connexin 32, hepatocarcinogenesis, rat
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
細胞間連絡能を司るギャップジャンクションを構成する蛋白であるConnexin (Cx)は、ラットの肝では主にCx32とCx26が発現しているが、我々はそのCx32のドミナントネガティブ変異体を発現する導入遺伝子を持ったトランスジェニックラット(Tg)を作成した。肝のHE標本などでは正常と区別できないが、このTgでは正常Cxの細胞膜への局在が阻害され、細胞間連絡能が低下していることを蛍光免疫染色とin vivo dye transfer assayを用いて証明した。多くのがんでは細胞間連絡能の低下が認められ、またCx遺伝子の強制発現によって癌細胞の増殖能が低下する等の報告もある。そこで生体内における細胞間連絡能の低下が、がんの発生や進展の過程でどのような影響を与えるかを検討した。前がん病変の発生段階でのCx32の役割、がん細胞への進展でのCx32の役割、さらには転移へのCx32の役割を明らかにするために実験を行った。その結果、がんの発生から進展まですべての段階で、肝臓の細胞間連絡能の低下した遺伝子改変ラットは発がん感受性が高い事が示され、Cx32の正常機能は発がん過程全体にわたり抑制的に関与している事が明らかとなった。
著者関連情報
© 2008 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top