日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-24
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4.毒性機序II (腎、免疫、造血、脳神経)
ヒトNK活性は熱処理によりパーフォリン依存性に低下する
*原田 英樹村上 徹Tea Seow Shi竹内 晃古賀 友紹岡田 誠治Mary Ann Suico首藤 剛甲斐 広文
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抄録
【目的】腫瘍の縮退を目的とした温熱療法が行われているが,熱が免疫系に与える影響に関する詳細な報告はない.免疫担当細胞のうちナチュラルキラー(NK)細胞は腫瘍・感染細胞の排除に関わる重要な細胞である.我々は以前に,in vivoおよび,in vitroにおけるマウスNK細胞に対する熱の影響について報告した(1).そこで本研究では, ヒトNK活性に対する熱の影響と,その分子メカニズムを明らかにすることを目的とした.
【方法】健常人から末梢血単核球を分離し, 42℃,1時間の熱処理を行い次の実験を行った.1.GFP導入K562細胞を用いたフローサイトメトリーによるNK活性の測定(2),2.NK細胞の表面分子の解析,3.パーフォリンの発現量解析,4.パーフォリンmRNAの発現量解析.
【結果】熱処理5時間後に,NK活性の有意な低下がみられ,24時間後にはほぼ回復した.同様に,熱処理5時間後ではパーフォリンタンパクおよび,mRNAの発現量の低下が見られた.これら活性が低下した NK細胞では,アポトーシスの誘導および細胞表面分子の発現量に明らかな差は見られなかった.
【結論】ヒトNK細胞を熱処理することにより,NK活性の低下がみられた.このNK活性の低下は,細胞傷害性に重要なエフェクター分子であるパーフォリンの発現低下によることが示唆された.

(1) Koga T, Harada H, Shi TS, Okada S, Suico MA, Shuto S and Kai H. Hyperthermia suppresses the cytotoxicity of NK cells via down-regulation of perforin/granzyme B expression. Biochem Biophys Res Commun, 337, 1319-1323, 2005.
(2) Harada H, Suzu S, Ito T and Okada S. Selective expansion and engraftment of human CD16+ NK cells in NOD/Scid mice. Eur J Immunol, 35, 3599-3609, 2005.
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© 2008 日本毒性学会
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