日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-26
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4.毒性機序II (腎、免疫、造血、脳神経)
アセチルフェニルヒドラジン投与ラットにおける溶血性貧血の初期変化
*小嶋 五百合佐々木 淳矢富田 真理子首藤 康文大沼 彩田島 悠吉田 敏則中島 信明原田 孝則
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抄録
【目的】毒性試験実施中にみられる溶血性貧血は,通常の反復投与では検査時期により代償性の造血亢進が生じるため,その本態を理解することは容易ではないことが多い。今回,酸化ストレスに起因した溶血性貧血を誘発するアセチルフェニルヒドラジン(APH)を比較的高用量で単回投与し,その初期変化について検索を行なった。 【方法】雌性Wistar系ラット (BrlHan:Wist@Jcl) にAPHを0, 40および80 mg/kgの用量で単回皮下投与し,その2日後に末梢血の血液・生化学的検査,血液形態検査,ハインツ小体染色,骨髄検査,剖検および組織学検査を行なった。 【結果】両用量群に,Ht,Hb,赤血球数,MCVt,MCVmの減少およびMCHC,CHCMの増加で示される小球性高色素性貧血が認められたが,間接型ビリルビンとハインツ小体の増加,赤脾髄のうっ血を伴う脾臓重量増加がみられたことから溶血性貧血の発生が確認された。両用量において骨髄有核細胞数に変化はなかったが,骨髄細胞分類の結果,低用量群には赤芽球の増加とM/E比の減少傾向がみられ,軽度の代償性反応が生じていることが判明した。血液形態検査では多染性,大小不同,変形赤血球が観察され,多染性と大小不同については赤血球分布幅と赤血球血色素濃度分布幅の増加とも一致した。網状赤血球の数に変化はみられないが同細胞の平均容積(MCVr)の増加と平均血色素濃度(CHCMr) の減少がみられ,大球性低色素性の網状赤血球の存在が示唆された。また,血清鉄および総鉄結合能が増加し,不飽和鉄結合能の減少がみられた。赤血球中の総GSH量に明らかな差はみられなかった。 【まとめ】成熟血球の小球化・高色素性や網状赤血球の大球化・低色素性は,APHによる溶血性貧血の初期変化であろうと考えられた。これらの反応の発生機序や鉄代謝の変化の意義については,現在検討中である。
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© 2008 日本毒性学会
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