日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-48
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5.毒性発現機構,薬物代謝
新規キノロン薬DC-159aおよびDX-619の幼若ラット関節軟骨に及ぼす影響
*後藤  浩一鈴木 貴美矢部 光一山口 百合神藤 敏正真鍋 淳
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抄録
キノロン薬DC-159aおよびDX-619の300および900 mg/kg/dayを雄性幼若Slc: SDラット(3週齢)に経口7日間反復投与した時の上腕骨および大腿骨遠位関節軟骨について組織学的検査を実施した結果、両キノロン薬ともに関節軟骨に変化は認められなかった。そこで、両キノロン薬の100、300および900 mg/kgを雄性幼若ラットに経口単回投与した時の大腿骨遠位関節軟骨内薬物濃度を測定し、同様に投与したofloxacin(OFLX)の軟骨内薬物濃度と比較するとともに、大腿骨遠位関節軟骨について、real-time RT-PCR法により、サイトカイン・ケモカインあるいはプロテアーゼ関連遺伝子であるTnfrsf12a、Ptgs2、Fos、Mt1a、PlaurおよびMmp3の発現量を調べた。その結果、DC-159aおよびDX-619の各用量における軟骨内薬物濃度は、OFLXの約1/2であった。Real-time RT-PCRでは、900 mg/kgでFosとMt1aの発現増加が見られたが、Tnfrsf12a、Ptgs2、PlaurおよびMmp3に変化は認められなかった。関節毒性を示すOFLXの300 mg/kgを経口単回投与した幼若ラット大腿骨遠位関節軟骨では、Tnfrsf12a、Ptgs2、PlaurおよびMmp3の増加が認められ、関節毒性発現への影響が示唆されている(Goto et at., Toxicology, 208, 204-213)。以上のことから、DC-159aおよびDX-619を投与した幼若ラットで関節病変が認められなかったことには、軟骨内薬物濃度がOFLXに比較して低いことが関与しているとともに、Tnfrsf12a、Ptgs2、PlaurおよびMmp3の発現の有無が影響している可能性が考えられた。
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© 2009 日本毒性学会
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