日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-16
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臓器毒性,代謝,毒性試験法等
オートパッチクランプシステムを用いたhERGチャネル阻害スクリーニング系の確立
*本多 正樹礒部 剛仁小松 竜一山田 裕一郎木村 和哉田保 充康
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抄録
【目的】QT延長リスクのスクリーニング系として,マニュアルパッチクランプ法によるhERG電流への薬物作用の評価が行われてきたが,熟練した実験技術が求められ,多検体をアッセイする早期毒性評価系としてはスループットが低いことが課題と考えられる。オートパッチクランプシステムは,同時に複数の細胞を電気生理学的にアッセイできるため,高いスループットで信頼性のあるデータが取得できる実験系として期待されている。本検討では,オートパッチクランプシステムを用いたhERGチャネル阻害スクリーニング系の精度について検証すると共に,そのスループットを数値化することでマニュアルパッチクランプ法との比較を行った。
【方法】hERGチャネル発現CHO細胞を用い,PatchXpress7000Aにて,ホールセルクランプ法によりhERG電流を測定した。陽性対照薬(12種)によるhERG電流抑制作用を検討し,マニュアル法によって得られたデータと比較した。また,自社化合物のスクリーニング実験の成功率からそのスループットを算出した。
【結果及び考察】各陽性対照薬は濃度依存性にhERG電流を抑制し,そのIC50値はマニュアルパッチクランプによるデータと良好な相関を示した。スクリーニング時におけるアッセイの平均成功率は42%であり,1回のアッセイ(約1時間)でおよそ7例のデータが取得可能であった。以上より,hERGチャネルの抑制作用に関して,オートパッチクランプシステムを用いて高いスループットで精度の高い評価を行うことが可能であることが実証された。しかし,脂溶性パラメータであるcLogPが高い一部の化合物では,IC50値にマニュアルパッチクランプとの乖離が認められた。よって,化合物の特性に応じてオートパッチクランプによる評価の妥当性を考えながら,マニュアル法を併用してスクリーニングを進める必要があると考えられた。
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© 2009 日本毒性学会
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