日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-41
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臓器毒性,代謝,毒性試験法等
カニクイザルの末梢血リンパ球サブセットに及ぼす投与ストレスの影響
*岡村 隆之徳留 秀樹常深 慎深澤 清久原田 英樹大西 康之平塚 秀明
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抄録

【目的】免疫毒性試験のリンパ球サブセット検査において,ストレスによる末梢血リンパ球数の減少は試験結果の評価に影響を与える恐れがある.今回,サルにおける投与ストレスに着目し,投与ストレスがどのように末梢血リンパ球サブセットデータに影響を及ぼすか検討した.
【方法】<検討1>カニクイザルを用い,投与操作(静脈内および経口)に伴う末梢血リンパ球サブセット(T,CD4+T,CD8+T,B,NK)の変動について調べた.<検討2>7日間の投与馴化(1日1回モンキーチェアに保定して水を経口投与)を行い,投与操作に伴う末梢血リンパ球サブセットの変動への効果について調べた.<検討3>検討2において,血清コルチゾール(ストレスマーカー)およびT細胞のケモカインレセプター(CXCR4,CCR7:二次リンパ組織へのホーミングに関与)発現を測定し,リンパ球数の変動との関連性について検討した.
【結果】静脈内および経口投与により,投与後2~6時間にリンパ球数(特にT細胞)の減少がみられた.この変動は,投与馴化により軽減される傾向が認められた.またリンパ球数の減少には,血清コルチゾールの増加およびT細胞のCXCR4発現の増加を伴っていた(CCR7は変化なし).
【考察】投与時のストレスに関連すると考えられる末梢血リンパ球数の減少が投与後2~6時間に認められた.したがって,薬物の単回投与後数時間に末梢血リンパ球サブセット評価を行う場合には,投与馴化を行うなどの配慮が必要と考えられた.この末梢血リンパ球数減少(T細胞数減少)には,T細胞のCXCR4発現増加とそれに伴うT細胞の二次リンパ組織へのホーミングが関与している可能性が示唆された.

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© 2009 日本毒性学会
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