日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-42
会議情報

臓器毒性,代謝,毒性試験法等
培養角膜モデルを用いた眼刺激性試験法の検討
*加藤 雅一浜島 史泰小笠原 隆広畠 賢一郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【緒言】化粧品や化学物質の安全性を確認する眼刺激性試験は、ウサギを用いたドレイズ法が一般的な試験方法であるが、近年、動物福祉の観点からin vitro眼刺激性試験の検討が始まっている。これまで培養細胞を用いた方法が開発されているが、被験物質を直接適用できない点が課題である。本研究では、被験物質を直接適用可能な3次元ヒト培養角膜モデル(以下角膜モデル)培養法、及び角膜モデルを用いたin vitro眼刺激性試験法について検討した。
【材料と方法】ヒト角膜上皮組織から分離した角膜上皮細胞を3T3-J2フィーダー細胞を用いて増殖させた。得られたヒト角膜上皮細胞をセルカルチャーインサートに播種し、気液層界面で13日間培養し、角膜モデルを作製した。この間、経時的にサンプリングしてヘマトキシリン&エオジン染色(以下H&E染色)及び免疫染色を行い、その組織構造を評価した。また、透過型電子顕微鏡による微細構造の観察を行った。また、in vivo眼刺激性程度(ドレイズスコア)が確認されている被験物質を角膜モデルに適用し、細胞毒性、及び組織構造変化を指標としたin vitroの刺激性試験法について検討した。
【結果および考察】培養経過に伴い、細胞の重層化、および細胞間接着関連因子の発現増加を認め、培養13日目の角膜モデルではmicrovilliの形成が観察された。これらは、ヒト角膜上皮組織と類似していることから、培養13日の角膜モデルを用いて眼刺激性試験法の検討を行った。種々の検討から設定した条件(暴露時間1分、後培養時間24時間、生細胞率50%以下を眼刺激性)で被験物質を評価した結果、in vivo刺激性分類と85%が一致し、高い相関を示した。また、刺激性試験後の組織破壊の様子がin vivo刺激性の強度と相関する傾向にあった。これらの結果から、角膜モデルは眼刺激性試験の有用な代替材料となりうるころが示唆された。

著者関連情報
© 2009 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top