日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-45
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臓器毒性,代謝,毒性試験法等
ミトコンドリア毒性を指標としたヒト特有肝障害スクリーニング法確立の試み
*橋本 まき田中 佐依小関 直輝出口 二郎山田 徹船橋 斉関 高樹
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キーワード: ミトコンドリア, 肝障害
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抄録

【目的】肝障害は医薬品において、最も問題となる有害事象の一つである。従来の非臨床試験での肝障害予測は困難なことが多く、新たな手法が種々試みられている。中でもミトコント゛リア機能障害は薬剤性肝障害の作用点の一つとして注目され、特にヒト特有肝障害のメカニス゛ム解析法として利用されている。一方、従来のミトコント゛リア機能評価法は、そのスループット性の低さより創薬初期段階でのスクリーニンク゛への応用には適さないため、ウシ心臓由来のSubmitochondrial Particle (SMP)を用いて新規スクリーニンク゛法の確立を試み、従来法との比較を行った。【方法】<従来法>ラット肝臓より調製したミトコント゛リア単離液を用い、呼吸能(溶存酸素濃度を指標)、膜電位(Rhodamine123を用いた蛍光強度を指標)及び膨潤(OD540を指標)に対するTroglitazone、Pioglitazoneの影響を検討した。<新規スクリーニンク゛法>ミトコント゛リア機能障害が既知である化合物(Rotenone, CCCP)、肝障害誘発が既知である化合物(Acetaminophen, Diclofenac, Troglitazone)及びその類似化合物(Pioglitazone, Zolpidem)を用い、SMPに基質(Succinate)を加え、NAD+からのNADH生成を指標にミトコント゛リア機能に対する化合物の影響を評価した(MitoScanTM、Harvard BioScience)。【結果・考察】従来法ではいずれの測定においてもPioglitazoneと比較してTroglitazoneで強い作用が認められ、肝障害誘発とミトコント゛リア毒性との関連が示唆された。また新規評価法では、Rotenone, CCCPで著明な作用を認めた他、PioglitazoneとTroglitazoneとの差別化も明確であり、他の肝障害誘発物質でもミトコント゛リア機能への影響が検出された。これら結果より、今回用いた新規ミトコント゛リア毒性スクリーニング法は従来法と同様の結果が得られ、スルーフ゜ット性の高いスクリーニンク゛法として有用と考えられた。

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© 2009 日本毒性学会
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