日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-50
会議情報

臓器毒性,代謝,毒性試験法等
行動薬理試験におけるラット系統差検討(SD系ラットとWistar系ラットの比較)
*仲野 善久菊地 聡美松本 茂樹松末 朋和
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【はじめに】安全性試験における行動薬理評価は、その動物の持つ特性に大きく影響を受ける。よって同じ種でも系統によって評価感度などが大きく異なってくることが想定される。国内では毒性試験でSD系ラットを用いることがまだ比較的多いが、Wistar系ラットも欧州のみでなく世界的に毒性試験のスタンダードになりつつある。そのような背景の中、我々は行動薬理試験におけるラット系統適性を確認することを目的として、FOB法におけるWistar系ラットとSD系ラットの比較を行った。 【方法及び結果】Slc:Wistar Hannover/Rcc(Wist.)ラットまたはSlc:SD(SD)ラット6~8週齢を用いFOB法(Mattson, J.L. et al., 1996)に準じ観察を行った。観察時点は投与前及び投与後0.5、1、2、4時間とした。反応性確認のための薬剤としてchlorpromazine(5mg/kg i.p.)、D-amphetamine(8mg/kg i.p.)を用いた。まず生理食塩水i.p.投与動物で1日内反復評価による経時的な反応性変動について検討した所、SDは特にオープンフィールドでの立ち上がり回数が初回から少なく2回目から明確に減少したのに対し、Wist.は初回の立ち上がり回数が多く測定回数を重ねても比較的低下が少なかった。本背景からchlorpromazine投与によるオープンフィールドでの抑制性変化をWist.ではSDに比べて明確に評価することが可能であった。またD-amphetamine投与によるケージ内、ハンドリングでの観察及び刺激反応性観察での興奮性変化についてもWist.の使用により明確な評価が可能であることを確認した。 【結論】今回の条件でSDに比べWist.は行動薬理試験評価のための適性がより高いことが示唆された。

著者関連情報
© 2009 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top