日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-54
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臓器毒性,代謝,毒性試験法等
フェノバルビタールによる遺伝子発現制御におけるmiRNAの関与
*村上 千晴沼澤 聡吉田 武美
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キーワード: miRNA, マイクロアレイ
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抄録

【目的】miRNAは、遺伝子発現の制御を介して発生、細胞増殖、アポトーシスなど様々な生命現象に深く関与することが明らかになっている。薬物処置により生じる遺伝子発現変動にもmiRNAが役割を演じていることが推察されるが、これまでほとんど報告がない。もし、薬物による遺伝子発現におけるmiRNAの関与が明らかになれば、新たな毒性の評価指標につながることが期待される。さらに、特定のmiRNAの機能が明らかになれば、薬物間相互作用の分子レベルでの理解も深まることが期待できる。そこで、多くの遺伝子発現を誘導することで知られているフェノバルビタール(PB)を用いて、遺伝子発現とmiRNA発現の関連性について検討を行った。
【方法】8週齢のC57BL/6系雄性マウスにPB (100 mg/kg)を腹腔内投与し、12、24、48時間後に肝臓を摘出した。抽出した総RNAを用いて、アジレント社製DNAマイクロアレイ及びmiRNAマイクロアレイにより、それぞれ遺伝子発現及びmiRNAの網羅的発現解析を行った。さらに、特定の遺伝子産物についてreal time RT-PCRを用いて詳細な検討を行った。
【結果及び考察】マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析の結果、期待通りCyp2b9やCyp2b10を始め、多くの遺伝子の発現誘導が見られた。遺伝子発現について対照と比較し、5倍以上増加あるいは減少した遺伝子を抽出したところ、12、24、及び48時間後にはそれぞれ129個、58個、及び56個の遺伝子に発現変化が認められた。miRNA発現解析の結果、12時間後、24時間後、48時間後にそれぞれ25個、17個、25個のmiRNAに2倍以上の発現変動が見られた。発現変動した遺伝子とmiRNAの関連性については、現在検討を行っている。

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© 2009 日本毒性学会
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