日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-66
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優秀研究発表賞応募演題
プロテオミクスを利用したラットにおけるエストロゲン作用マーカー探索
*堀内 雅史山中 秀徳武吉 正博美濃部 安史
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抄録

【目的】我々は第35回日本トキシコロジー学会でエストロゲン作用2物質(EE及びBisA)について、エストロゲン作用の短期検出マーカーを探索した結果を報告した。今回、前述の2物質に加え、新たにエストロゲン作用4物質(17alpha-Estradiol、4-(1-Adamantyl)phenol、Diphenyl-p-phenylenediamine、4-tert-Octylphenol)及び非エストロゲン作用2物質(Indigo、Flutamide)の実験を行ない、エストロゲン作用物質間で共通変動する短期検出マーカーの探索を試みた。
【方法】7週齢雄SDラットに媒体、エストロゲン作用4物質及び非エストロゲン作用2物質を1、3及び7日間投与し、血清及び蓄積尿を採取した。血清及び尿中のタンパク質成分は、蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動解析システム(2D-DIGE)で発現量を定量比較解析した。更に血清は低分子領域の微量成分に着目し、分子量分画解析も実施した。
【結果と考察】血清からはアポリポタンパク質2種(Apolipoprotein A-I及びApolipoprotein E)の発現減少を含め、計3種のタンパク質成分をエストロゲン作用物質間で共通変動するタンパク質成分として抽出した。更に血清の分子量分画から30 kDa以下の微量タンパク成分を探索し、現在まで6スポットのタンパク質成分の変動を検出した。尿からはSerum albuminがエストロゲン作用5物質間で、Glandular kallikrein-7は弱エストロゲン作用物質(Diphenyl-p-phenylenediamine、4-tert-Octylphenol)を除く4物質間で発現量が減少した。これらを含め計5種のタンパク質成分を尿から抽出した。以上のタンパク質成分はエストロゲン作用の有望な短期検出マーカーと推察される。
【謝辞】本研究は経済産業省委託事業「平成20年度環境対応技術開発等(化学物質の内分泌かく乱作用の試験・評価手法の国際標準化及び有害性情報の整備)」の研究成果の一部である。

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© 2009 日本毒性学会
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