日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-70
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優秀研究発表賞応募演題
食品添加物のヒトPXR活性化能:ヒトPXR活性化物質検索用レポーター細胞株HepG2-PXRLucA3を用いた解析
*関本 征史佐野 慎亮根本 清光西川 秋佳出川 雅邦
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抄録

【目的】ヒトCYP3A4酵素は、肝臓の薬物代謝において中心的な役割を占める。肝CYP3A4は、プレグナンX受容体(PXR)の活性化を介して誘導されることが知られていることから、PXR活性化能を有する化合物(PXR ligand)の検索・評価は異物(薬物)相互作用を理解する上で重要である。そこで、本研究では、ヒトPXR活性化物質検索用レポーター細胞株(HepG2-PXRLucA3)を樹立し、その応用として4種の食品添加物のPXR活性化能を検索した。 【方法】肝CYP酵素の発現を変動させることが知られる4種の食品添加物(クルクミン(CUR)、チアベンダゾール(TBZ)、没食子酸プロピル(PG)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT))を被検化合物とした。また、既知のヒトPXR活性化物質としては、リファンピシン(PIF)を使用した。HepG2-PXRLucA3細胞に対し、RIFあるいは各被検化合物の単独処理、もしくはRIF(10 µM)と各被検化合物の同時処理を行い、24時間後のPXR活性化をルシフェラーゼアッセイにより検討した。 【結果】用いた4種の食品添加物のうちTBZのみに、弱いPXR活性化能が見られた。また、TBZはRIFとの同時処理により、濃度依存的にPXR活性化を促進した。一方、CUR、PGあるいはBHTは、RIFによるPXR活性化をそれぞれ濃度依存的に阻害した。 【考察】本研究で用いた4種の食品添加物はいずれもヒトPXR活性化に影響を与えること明らかにし、これら化合物がCYP3A酵素の発現誘導に影響を及ぼす可能性を示した。現在、これら化合物によるCYP3A酵素の遺伝子発現レベルおよび酵素活性レベルでの誘導について解析を進めている。

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© 2009 日本毒性学会
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