日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-74
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優秀研究発表賞応募演題
妊娠及び授乳ラットを用いたフェノバルビタールによる凝固系への影響について
*清水 郷美城所 祐里大石 巧北澤 隆宏梅下 和彦鎌田 貴志岸 大輔鈴木 沙織西原 義人中村 大地望月 雅裕
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抄録

〔目的〕新生児はビタミンK(VtK)欠乏による「新生児出血性疾患」に罹患しやすく、母親がフェノバルビタール(PB)などの投薬治療を受けると、その乳児にしばしば認められる。我々は第34回本学会学術年会で、SD系雄ラットにPB(100 mg/kg)を反復経口投与し、投与1日からAPTTが延長することを報告した。今回は、PBを非妊娠、妊娠及び授乳期のラットに反復投与し、母動物の血液凝固時間への影響と授乳期の仔ラットへの影響についても検討した。 〔材料及び方法〕妊娠及び非妊娠ラットに妊娠13~19日の7日間、PB(80 mg/kg)を経口投与し、妊娠20日に採血して無処置の妊娠及び非妊娠ラットと比較した。また、授乳ラットに分娩後7~13日の7日間、PBを同様に経口投与し、分娩後14日に採血して無処置の授乳ラットと比較した。更に、PB投与及び無処置の毋ラットのそれぞれの仔ラットから採血し比較した。検査項目は、PT、APTT、FIB、トロンボテスト(TBT)、第VII、IX及びX因子(F-VII、IX及びX)並びにアンチトロンビンIII(ATIII)である。 〔結果及びまとめ〕PB投与非妊娠ラットでは、無処置非妊娠ラットと比べ、ATIIIの増加がみられたが、血液凝固時間の延長は認められなかった。PB投与妊娠ラットでは、無処置妊娠ラットと比べ、血液凝固時間の延長は認められなかった。また、PB投与授乳ラットでは、無処置授乳ラットに比べ、APTTの延長及びATIIIの増加が認められた。更に、PB投与毋ラットの仔ラットでは、無処置毋ラットと比べ、PT及びAPTTの延長(雌雄)、F-VIIの減少(雄)及びF-IXの減少(雌)が観察された。こうした結果から、PB投与は授乳期の母仔ラットの血液凝固系に影響を及ぼすことが明らかになった。現在、授乳期の毋ラットへのPB及びVtK併用投与の影響について検討中である。

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© 2009 日本毒性学会
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