日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-75
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優秀研究発表賞応募演題
妊娠および授乳ラットにおけるワルファリンの血液凝固系への影響
*北澤 隆宏鈴木 沙織望月 雅裕吉長 洋妥岡崎 恵美長田 ちさと松下 秋子古賀 美代子出野 悦子大石 巧
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抄録

〔目的〕  抗凝固薬であるワルファリンを用いて、妊娠ラットと非妊娠ラットおよび授乳ラットと非授乳ラットにおける血液凝固系の変化を比較し、妊娠あるいは授乳がワルファリンによって生じる血液凝固系の変化にどのような影響及ぼすかについて検討した。 〔材料と方法〕  妊娠ラットおよび非妊娠ラットに妊娠17日から19日の3日間、ワルファリン (0.5 mg/kg/day)を強制経口投与し、無処置の妊娠ラットおよび非妊娠ラットを対照群として用いた。また、授乳ラットおよび非授乳ラットに分娩10日から12日の3日間、ワルファリン(0.5 mg/kg/day)を強制経口投与し、無処置の授乳ラットおよび非授乳ラットを対照群として用いた。投与終了の翌日(妊娠20日または授乳13日)に採血し、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、フィブリノーゲン量(FIB)、トロンボテスト(TT)、第_VII_因子(F-_VII_)、第_X_因子(F-_X_)およびアンチトロンビンIII(AT-III)を測定した。 〔結果とまとめ〕  非妊娠ラットでは、ワルファリン投与によりPTおよびAPTTの著明な延長がみられ、TT、F-_VII_およびF-_X_にも影響がみられたが、妊娠ラットではAPTTおよびTTに影響がみられたのみで、その程度も軽度であった。また、授乳ラットでも同様にAPTTに影響がみられたのみで、その程度も軽度であった。こうした結果から、ワルファリンによるラットの血液凝固系への影響は、妊娠期および授乳期には軽減することが明らかになった。その原因については、エストロゲンとの関連も含めて、目下検討中である。

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© 2009 日本毒性学会
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