日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-80
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優秀研究発表賞応募演題
MeIQxのマウス肝in vivo変異原性に対するCCl4誘発肝障害の増強効果
*岡村 俊也石井 雄二井上 知紀田崎 雅子鈴木 裕太児玉 幸夫能美 健彦梅村 隆志西川 秋佳
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抄録

【目的】慢性炎症は発がんリスクを高める要因の一つであり、炎症反応によって生じる種々の炎症関連因子の発がん過程への関与が示唆されている。本研究では、慢性炎症下の遺伝毒性発がん物質暴露の生体影響を検索するため、四塩化炭素(CCl4)誘発肝障害モデルを用い、B6C3F1 gpt delta マウス肝に対する2-amino-3,8-dimethylimidazo[4,5-f]quinoxaline (MeIQx)のin vivo変異原性を検討した。【方法】8週齢の雌マウスにMeIQxを300 ppm混餌で13週間投与した。投与2週目より、CCl4を0.2 mL/kgの用量で1回/週の頻度で腹腔内投与した。投与終了後に解剖し、肝臓を採取してgpt 及びSpi- mutation assayに供した。また、肝臓からRNAを抽出してMeIQxの代謝・排泄に関わるCYP1A2及びGSTのmRNA発現量をreal-time RT-PCR法を用いて検索した。【結果】gpt 及びSpi- assay共に、MeIQx投与により対照群と比べてmutant frequency(MF)の有意な増加が認められ、更に併用投与群では、MeIQx単独群と比べてMFの有意な増加が認められた。gpt assayで得られた変異体のスペクトラム解析の結果、MeIQx投与によりGC:TA transversionが高い頻度で観察され、併用投与群ではclonalな増加が高頻度にみられた。CYP1A2及びGSTのmRNA発現量に併用投与による影響はみられなかった。【考察】本実験条件下では、gpt delta マウスの肝臓におけるMeIQxのin vivo変異原性はCCl4投与によって増強された。これはMeIQxの代謝活性化の上昇や排泄経路の抑制によるものではなく、細胞増殖活性の増加に起因する可能性が示唆された。

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© 2009 日本毒性学会
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