日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-81
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優秀研究発表賞応募演題
ルシジン配糖体のin vivo変異原性に及ぼすスルフォトランスフェラーゼ阻害剤併用投与の影響
*石井 雄二岡村 俊也田崎 雅子井上 知紀児玉 幸夫能美 健彦梅村 隆志西川 秋佳
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抄録

【目的】ルシジン配糖体(lucidin-o-primeveroside; LP)はラット腎臓および肝臓に発がん性を有するアカネ色素の構成成分の一つで、代謝を受け変異原性を有するLucidin (Luc)を生成する。また、LPを投与した齧歯類の腎臓及び肝臓ではLuc特異的DNA付加体の形成も報告されており、その代謝活性化にはsulfotraspherase(SULT)の関与が想定されているが、その詳細は不明である。本研究では、LPによるgpt deltaマウス腎臓でのin vivo突然変異誘発性に対するSULT阻害剤pentachlorophenol(PCP)の併用投与の影響を検討した。 【方法】10週齢の雄性B6C3F1 gpt deltaマウス20匹を各群5匹に分け、0.3%LPと0.02%PCPの複合投与群、それぞれの単独投与群ならびに基礎飼料のみの対照群とした。投与は全て粉末飼料に混じて行い、PCPの投与はLPの投与1週間前から開始した。LP投与後13週間目に動物を解剖し、腎臓の病理組織学的検索および腎臓DNA中のgpt点突然変異頻度(MF)の検索を行った。 【結果】病理組織学的検索の結果、LP群では腎臓の髄質外帯に核の大小不同が顕著に認められたが、LP+PCP群では明らかな変化は観察されなかった。さらに、各群2~3例のgpt assayの結果、MFはLP群で基礎飼料群に比べ明らかな上昇が認められたが、LP+PCP群では抑制傾向が認められた。 【考察】LPの投与によって認められた核の大小不同およびMFの上昇に、SULTによるLuc代謝活性化体の関与が示唆された。さらに例数を増やしたgpt assayの解析結果、ならびにSULT含めた代謝酵素に関する検討を加えて報告する予定である。

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© 2009 日本毒性学会
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