日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-155
会議情報

医薬品,新規化学物質と,オミクス等の安全性評価
KK-Ayマウスにおける活性酸素に起因したDNA損傷に対する高血糖の影響について
*橋本 和之高崎 渉矢本 敬真鍋 淳佐藤 至津田 修治
著者情報
キーワード: DNA損傷, KK-Ayマウス, 高血糖
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】糖尿病における高血糖とDNA損傷の影響を評価するため、糖尿病モデル動物であるKK-Ayマウスを用いてDNA損傷について検討し,高血糖とDNA損傷との関連を考察した。【方法】肝臓と腎臓のDNA損傷評価にコメットアッセイ(pH 9,12.1,13)および8-OH-dGアッセイを用いた。また、血液化学的検査を行い、生体機能の一部を評価するとともに、抗酸化剤あるいは糖尿病薬の投与を実施しDNA損傷への影響を検索した。【結果・考察】C57BL/6Jマウスと比較すると、KK-Ayマウスの血糖値は高く、肝臓と腎臓におけるDNA migration(pH 13)および8-OH-dGが増加していた。pH 9および12.1におけるDNA migrationは増加しなかったことから,アルカリ脆弱部位と8-OH-dGがKK-Ayマウスにおいて多く存在していると考えられた。血液化学パラメーターは、AST、ALT、ALP、総コレステロール、トリグリセリドがKK-Ayマウスで高値であった。酢酸d-α-トコフェロール(0.01、0.1%含有飼料、8週間摂取)とアスコルビン酸(0.01、0.1%含有飼料、8週間摂取)の同時処置は、KK-Ayマウスの血糖値および血液化学パラメーターに影響しなかったが、肝臓および腎臓のDNA migrationおよび8-OH-dGが減少した。Glimepiride(0.5、5 mg/kg/day、8週間経口投与)およびgliclazide(20、50 mg/kg/day、8週間経口投与)により、KK-Ayマウスでは血糖値の減少、ASTとALTの減少およびDNA migrationおよび8-OH-dGの減少が観察され、減少の程度はglimepirideで大きかった。これらの結果から,KK-AyマウスにおけるDNA損傷には少なくとも一部は高血糖に起因した活性酸素が関与し、血液化学パラメーターの変化は血糖値の変化と関連していると考えられた。
著者関連情報
© 2009 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top