日本トキシコロジー学会学術年会
第37回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-24
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3.生殖毒性,代替法,毒性試験法,安全性評価,モデル動物
ラット胎盤血流量に及ぼすケトコナゾールの影響
*市川 あおい杉本 武志城塚 康毅前田 恵美子茶谷 文雄松本 清川手 憲俊玉田 尋道
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抄録
【目的】妊娠12-14日のCrl:CD(SD)ラットにケトコナゾール(KZ)の25 mg/kg/日を経口投与すると妊娠20日の胎盤重量が増加し,この 増加はエストラジオール-17β(E2)の併用投与で消失する成績を得ている。今回,KZを妊娠12-14日に経口投与して胎盤の病理組織 学的変化並びに血流量を検討した。
【材料と方法】Crl:CD(SD)ラットにKZの25 mg/kg/日を妊娠12-14日に経口投与して以下の実験を行った。(1)病理組織学的検査:妊 娠14(投与4時間後),16,18及び20日に剖検した胎盤をHE染色して観察した。(2)さらに妊娠14日の投与2,4,8,16及び24時間 後にHE染色,(3)投与8,16及び24時間後に低酸素状態に反応するHypoxyprobeによる免疫染色を行い,投与後の胎盤の状態を観察 した。(4)胎盤血流量測定:妊娠14日の投与0,4,8及び24時間後に胎盤へ流入する母動物の血流量をマイクロスフェア法で測定した。
【結果及び考察】(1)病理組織学的検査では妊娠18-20日に母胎盤血管腔の拡張が観察された。(2)また,投与2-8時間後には胎盤迷路 部血管腔における母体の血球量が著しく減少する一方,胎児の有核赤血球は増加した。(3)Hypoxyprobeによる免疫組織学的検査では 投与16時間後に胎盤迷路部組織が軽度な陽性像を示した。(4)KZ投与群の胎盤への母体血流量は投与4時間後に対照群の約1/4に低下 した。E2は強力な子宮血管拡張作用を有することが知られており,アロマターゼ阻害作用を有するKZの投与によって母体の血漿中E2 濃度が低下し,子宮血流が抑制されて胎盤が一過性の虚血状態になり,この低酸素状態が胎盤重量の増加を惹起した可能性が考えられ た。
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© 2010 日本毒性学会
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